令和5年度技術士第二次試験問題〔総合技術監理部門〕Ⅰ-1-14

I -1-14我が国で用いられている社員格付け制度に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。


①職能資格制度は,高い等級者が多くなりやすいなどの理由により,職務等級制度や役割等級制度に比べ,総人件費が高くなりがちである。

②職務等級制度のメリットの1つは,人事異動・職務変化に適し,組織の柔軟性が保てることである。

③ジョブ型雇用における格付け制度では,職務等級制度や役割等級制度が用いられる。

④職能資格制度では,いったん身についた能力は減らないという考えを基本としており,降格はなじまない。

⑤職務等級制度は,キャリア目標と報酬が連動し,そのことがインセンティブとして働くため,キャリア意識が高まる。


回答 ② 職務等級制度は,人事異動・職務変化に適さず,組織の柔軟性が保ちづらい。


参考

「役割等級制度とは?【職能資格制度・職務等級制度との違い】」

https://www.kaonavi.jp/dictionary/role-grade-system/

令和5年度技術士第二次試験問題〔総合技術監理部門〕Ⅰ-1-13

I -1-13組織開発に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。


①人材開発は「個人」への働きかけであることに対し,組織開発は「グループ」や「組織全体」に働きかける取組であり,「個人」への働きかけは含まない。

②組織開発の2つの手法である診断型と対話型のうち,診断型組織開発は,サーベイなどによる診断フェーズのある手法であるが,対話も重視される。

③組織開発で大切にされる価値観の1つとして人間尊重の価値観があり,マクレガーが提唱したX理論もその表れである。

④組織開発でキーとなる概念の「コンテント」と「プロセス」のうち,「コンテント」とは,どのようにコミュニケーションがなされているか,どのように課題や仕事が進められているかなど,組織メンバー間の関係性などの諸要素を指す。

⑤アプリシェイティブ・インクワイアリーは診断型組織開発手法の1つであり,データ収集等に基づく診断フェーズによって部署や職場の強みに光を当て,その強みや潜在力を引き出すことを目指す。


回答 ① 

①適切。

②不適切。「組織開発の2つの手法である診断型と対話型のうち,診断型組織開発は,サーベイなどによる診断フェーズのある手法であり,理想の組織のあるべき一つの姿がある程度明確になっており、その理想の状態へ近づけていく手法。」などが適切。

③不適切。「組織開発で大切にされる価値観の1つとして人間尊重の価値観があり,マクレガーが提唱したY理論もその表れである。」などが適切。

④不適切。「組織開発でキーとなる概念の「コンテント」と「プロセス」のうち,「プロセス」とは,どのようにコミュニケーションがなされているか,どのように課題や仕事が進められているかなど,組織メンバー間の関係性などの諸要素を指す。」などが適切。

⑤不適切。「アプリシェイティブ・インクワイアリーは対話型組織開発手法の1つであり,価値を見つける質問を投げかけることで、人が持っている良いところや、組織の持っている強みを引き出すことを目指す。」などが適切。


参考

「組織開発とは?組織・従業員の生産性を向上させる手法や企業事例を徹底解説」

https://www.works-hi.co.jp/businesscolumn/organization_development

「診断型組織開発と対話型組織開発」

https://esr-j.com/soshikikaihatsu002/

「組織開発におけるコンテントとプロセス」

https://dev.classmethod.jp/articles/content-and-process/#toc-3

「マクレガーのX理論・Y理論」

https://www.mhlw.go.jp/churoi/soshiki/roudougaiyou.htmlhttps://www.hri-japan.co.jp/contents_library/term/leader-ship/205/

「AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)とは」

https://successpoint.co.jp/portfolio-view/ai

令和5年度技術士第二次試験問題〔総合技術監理部門〕Ⅰ-1-12

I -1-12個々の労働者と使用者との間の個別労働関係紛争に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。


都道府県労働局などの総合労働相談コーナーに寄せられる相談のうち,いじめ,いやがらせ,解雇などの,民事上の個別労働関係紛争に係る相談の件数は,2002年度に比ベ2021年度は増加している。

都道府県労働局長は,個別労働関係紛争に関し,紛争当事者の双方又は一方からその解決について援助を求められた場合には,必要な助言又は指導をすることができる。

都道府県労働局長は,個別労働関係紛争について紛争当事者の双方又は一方からあっせんの申請があった場合,紛争の解決のために必要があると認めるときは,紛争調整委員会にあっせんを行わせる。

労働委員会は,個別労働関係紛争について紛争の解決のために必要があると認めるときは,紛争当事者双方の主張を確かめ,仲裁裁定を行う。

⑤裁判所における労働審判制度は,民事上の個別労働関係紛争に関して,紛争の実情に即した迅速,適正かつ実効的な解決を図ることを目的とする。


回答 ④ 「「紛争調整委員会」は、紛争当事者の間に、公平・中立な第三者として労働問題の専門家が入り、双方の主張の要点を確かめ、調整を行い、話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る。」が正しい。

(「労働委員会」は、「労働組合」(個人ではない)と「使用者」との間の集団的労使紛争を簡易迅速にかつ的確に解決するための委員会)


参考 「個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)」

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/index.html

労働委員会の概要」

https://www.mhlw.go.jp/churoi/soshiki/roudougaiyou.html

令和5年度技術士第二次試験問題〔総合技術監理部門〕Ⅰ-1-11

I -1-11職場におけるパワーハラスメントについて政府が策定した指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。


①職場におけるパワーハラスメントとは,優越的な関係を背景とした言動であって,業務上必要かつ相当な範囲を超えたものをいい,労働者の就業環境が害されるか否かに依らない。

②職場におけるパワーハラスメントには,上司から部下に対して行われるものだけではなく,同僚又は部下などが有する優越的な関係を背景に行われるものも含まれる。

③事業主は,職場におけるパワーハラスメントに係る相談窓口をあらかじめ定め,労働者に周知するとともに,相談窓口の担当者が相談内容や状況に応じ,適切に対応できるようにしなければならない。

④事業主は,労働者が職場におけるパワーハラスメントに関して相談したこと等を理由として,解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め,労働者に周知・啓発しなければならない。

⑤事業主は,職場におけるパワーハラスメントに係る言動を行った者については,厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則等に規定し,労働者に周知・啓発しなければならない。


回答 ① 

2 職場におけるパワーハラスメントの内容 ⑴ 職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を 背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③ 労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの をいう。 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や 指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。


参考 

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf

令和5年度技術士第二次試験問題〔総合技術監理部門〕Ⅰ-1-10

I -1-10労働における女性の活躍や育児等に係る諸法令に関する次の記述のうち,最も適切なものはどれか。なお,いずれの記述も,一般の民間企業及びその労働者を対象としている。

①事業主は,常時雇用する労働者の数に関わらず,女性の職業生活における活躍の推進に関して,数値目標を盛り込んだ行動計画を策定し公表しなければならない。

②事業主は,事実上生じている男女間格差を解消することを目的に,募集及び採用,配置,昇進などについて,女性労働者に有利な措置を行うことができる。

③事業主は,職場において行われる労働者に対する育児休業等の制度又は措置の利用に関する言動により,労働者の就業環境が害されることのないよう,体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じるよう努めなければならない。

年次有給休暇の日数を設定する際に用いられる労働者の出勤率を算定するに当たっては,労働者が育児休業を取得した期間は出勤日数に含まない。

⑤えるぼし認定とは,労働者の仕事と子育てに関する行動計画を策定した事業主のうち,男性労働者の育児休業等取得率などの一定の基準を満たした事業主を認定する制度である


回答 ②  男女雇用機会均等法 第8条。

①は、誤り。「「改正女性活躍推進法」では、一般事業主行動計画の策定が、常時雇用する労働者が301人以上の企業に義務づけられています。令和4年4月1日から、101人以上300人以下の企業にも策定・届出と情報公表が義務化されます。」とされている。

③は、誤り。「職場において行われる労働者に対する育児休業等の制度又は措置の利用に関する言動により,労働者の就業環境が害されること」とは、妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメントのこと。2017年より、事業主は、防止対策を講じることが義務付けられている。

④は、誤り。「育児休業から復帰した社員にも原則年次有給休暇を付与する必要がある」とされている。

⑤は、誤り。「女性活躍推進法に基づき、一般事業主行動計画の策定・届出等を行った事業主のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした事業主は、都道府県労働局への申請により、厚生労働大臣の認定(えるぼし認定)を受けることができます。」とされている。男性ではなく女性の活躍度合いで基準があり、認定の有無が決定する。


参考

労働基準分野のトピックス |厚生労働省

令和5年度技術士第二次試験問題〔総合技術監理部門〕Ⅰ-1-9

I -1-9 労働基準法労働安全衛生法に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

①使用者は,労働者に時間外労働,休日労働を行わせる場合には,時間外労働,休日労働に関する労使協定を締結し,行政官庁に届け出なければならない。

②時間外労働や休日労働に係る労働時間に関して,1か月,複数月,年間などの期間に応じた上限が罰則付きで規定されており,一部の事業・業務については,適用が猶予されている。

③使用者が,労働者に1か月について60時間を超える時間外労働を行わせた場合,60時間を超える部分の労働に係る割増賃金は,割増賃金の基礎となる賃金の5割以上である。

④事業者は,健康管理の観点から,裁量労働制の適用者及び管理監督者を除き,労働者の労働時間の状況を客観的な方法,その他適切な方法で把握しなければならない。

産業医を選任した事業者は,産業医に対し,労働者の労働時間に関する情報など,産業医が労働者の健康管理を適切に行うために必要な情報を提供しなければならない。


回答 ④ 令和元(2019)年から、健康管理の観点から、裁量労働制が適用される人や管理監督者も含め、すべての人の労働時. 間の状況が客観的な方法その他適切な方法で把握されるよう法律で義務付けられた。このため、④は誤り。

※②は、「令和6(2024)年から、適用の猶予がなくなる(いわゆる「2024年問題」)このため、令和5年時点の設問としては、適切。

※③は、「令和5(2023)年4月1日から、1か月に60時間を超えて時間外労働をさせた場合は、その超えた部分の労働については、50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。 」とされている。このため適切。


参考

労働基準分野のトピックス |厚生労働省

令和5年度技術士第二次試験問題〔総合技術監理部門〕Ⅰ-1-8

I -1-8 現品管理の活動として,次の記述のうち最も不適切なものはどれか。

ICタグを活用して,ものの動きと情報を関連付けた管理を行う。

コンビニエンスストアにおいて,販売する食料品の賞味期限の確認を行う。

③現品票を用いて,仕掛品の紛失を防止する。

④バーコードを活用して,販売時点情報を把握する。

⑤バスタブカーブの図を活用して,需要予測を行う。


回答 ⑤ バスタブカーブの図は、機械や装置の故障率を統計的に描いた図であり、現品管理と関係ない。


参考

現品管理|目的と重要性とは?現場の在庫管理を正確にする方法と手順